経営力向上計画

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

経営力向上計画の認定を申請できる事業者は、個人事業主社会福祉法人も含みます。しかし、資本金10億円以下、常時使用する従業員数が2,000人以下という規模の条件が定められています。
加えて、個人事業主は開業届を、法人は設立登記を行っていなければなりません。あくまでも認定を受けられる条件であり、実際に優遇措置などの支援を受けられる条件は別途設定されているという点は、注意してください。

目玉となるメリット・支援措置を数点とりあげて解説します。最も目玉となる支援措置は、税制措置です。

①中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は、法人税所得税において、取得設備を全額「税額控除」できたり、10%もしくは7%を控除できます。
これにより、法人税所得税の納付額を抑えられることが見込めます。
この取得設備による法人税所得税の税額控除の条件は以下のとおりです。

・前提として青色申告書を提出していること
・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

さらに、取得する設備にも次のような種類と条件があります。
【A類型(生産性工場設備)】
生産性が年平均1%以上向上
【B類型(収益力強化設備)】
投資利益率5%以上のパッケージ投資
【C類型(デジタル化設備)】
遠隔操作、可視化、自動制御化いずれかを可能にする設備

② 事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例

中小企業経営者の高齢化、事業承継の準備が進んでいない現状などを踏まえ、M&Aを通じた事業承継などについても支援措置が入る、税率の低減幅が大きくなる、事業承継の対象範囲を広めるなど、制度が拡充されています。
具体的には、事業承継のための土地や建物について、登録免許税・不動産取得税の軽減措置を利用できます。

③ 所得拡大促進税制の上乗せ

所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主所得税)から税額控除できる制度です。

この制度における給与の計算には、「所得の金額の計算上損金の額に導入される」もので、税額控除は調整前の法人税(所得税)額の20%までと限定される点は注意です。

25%税額控除となる上乗せ条件は、

・継続雇用者給与等支給額が前年比2.5%以上増加
・教育訓練費が前年比10%以上増加or経営力向上計画の認定を受け実行していること

となります。


その他にも金融的支援や法的支援など様々な支援措置を受けることができます。
ぜひ計画書作成を機に事業内容や課題の棚卸しを行って、経営の明確な目標を作成してください。また認定後の支援をフル活用すれば、資金確保等を考える際にも頼りになりでしょう。